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何人かのお姉さん、お兄さんが楽しそうに花が咲いている木の前で写真をとっている。その中にはお姉ちゃんもいた。 お姉ちゃんはすごくうれしそうでほっぺはあの花とおんなじ色になっていた。 「お姉ちゃん」 と声をかけようと思ったらお姉ちゃんはそっとその場を抜けだして建物の後ろにかけていった。 私は急いで追いかけたけれど、建物の後ろでお姉ちゃんは待ち合わせをしていたみたいだった。ポケットに手を入れたお兄さんがお姉ちゃんを待っていた。 私からはお姉ちゃんの顔しか見えず、声も聞こえなかった。でも、はじめはすごくうれしそうだったお姉ちゃんの顔がだんだん悲しそうになっていくのはよく見えた。 お兄さんはお姉ちゃんの手に何かを渡してから走って行ってしまった。 お姉ちゃんはじっとしていた。動くのを忘れてしまったみたいにじっとただ自分の手のひらを見つめていた。 私は出ていけなかった。 お姉ちゃんにかけ寄ってだきつきたかったけど、動けなかった。 やがて、お姉ちゃんは一つ一つの動作を思い出すようにゆっくりと動き出した。そしてそのまま建物の中にすいこまれて行った。
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