プロローグ

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 アメリカ、某所。  米国の広大かつ雄大かつ何処までも続くしみったれた大地に、とある街があった。  何処かの誰か曰く、"何処までも悪と呼ばれる所業を追究し尽くしたかのような街"。  何処かの誰か曰く、"出来る限りの悪行をその身に体験し尽くしたかのような街"。  何処かの誰か曰く、"この世全ての悪を無為に放り込んだかのような街"。 ―――そして。俗に言う"悪人ども"にとって、天国とも化し、地獄とも化す可能性がある街だ。  決してその街から罵声が鳴り止む事は無く、決して銃声が鳴り止む事も無い。  四六時中、その街には罵声と銃声のコントラストとも言える音楽が流れているのだ。  その華麗なる罵声と銃声の二重奏に乗って、その街の住人はその命を大地へと散らす。  その命は、散る瞬間に最期の役目として明星のように輝き、誘蛾灯もかくやといった風に新しい住人をその街に呼び寄せる。  その新しい住人がその街でくたばり果てるか、又はその街で永遠の名声を得るかはそいつ次第、未来次第だ。  その悪の街の名は、ワースト。  最高に低俗で、最低に糞っ垂れな街、ワーストだ。
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