【5】瞳

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『ネコちゃん。もっと上手くやらなきゃダメだよ。アハハ。』 彼女は、私の失敗をずっと見ていたのです。 『ネコちゃん、独り?』 『ニャ。』 『アハハ。応えたの?すごいすごい。』 素敵な笑顔。 私はおもわず見とれていました。 『そんなに見つめないでよぉ。私はヒトミ。ネコちゃんは・・・』 彼女の細い指が、私の汚れたブルーの首輪を探りました。 『名前は書いてないんだ・・・。じゃあねぇ・・・。カズにしよ!今から、ネコちゃんの名前は、「カズ」だからね。』 (とても人間っぽい名で・・・) そんなことはどうでも良く、私はこの夢の様な展開に、鼓動が高鳴りました。 (私は「カズ」。ヒトミが新しいご主人様。) こうして、二つ目の名前がついたのでした。 『よろしくね。カズ。』 そう言って、ヒトミは、汚れた私を抱きしめてくれました。 (ヒトミ・・・服が汚れちゃ・・・) 『くっさ~い!』 (そんなにハッキリいわなくてもぉ!) 『あれ?カズ泣いてるの?そんなに嬉しいのかな。ハハハ。変なコ。さて、帰ろ!』 ネコにも嬉し涙はあります。人は気付いていないだけで・・・。 ヒトミと私は、横に並んで歩いて行きました。
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