【6】幸せな日々

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それからの毎日は、私にとって一番幸せな時だったと思います。 学校が終わると、いつもヒトミは走って帰ってきました。 『ただいま~!カズ。』 私は、彼女の走る足音が近づくのを毎日待ちわびていました。 そうして、ネコの私に、今日学校であった楽しい話を、たくさん話してくれるのです。 お母さんも、私がこの家にやってきてから、ヒトミが元気になったことを喜んでいました。 ヒトミの留守中、私が窓際の机の上で伸びて寝ていると、ドア越しに、 『カズ。あなたのおかげで、瞳が良く笑う様になってくれたわ。ありがとう。これからも娘をよろしくね。』 と声がしました。夢の中だったかもしれませんが・・・。 ヒトミには、どうやら好きな人がいる様子で、その人の話をする時の彼女の表情から、私には分かりました。 (ネコじゃ・・・かなわないか。) 少し妬けました。 その人は、この窓から見えるマンションの5階に住んでいました。 『スポーツもできて、かっこいいんだよ。カズ・・・なんてどう頑張っても彼には勝てないよ。』 (比べる方がどうかと・・・) 『小学校までは同じクラスで、時々家に来て、遊んだりもしたんだよ。』 嫉妬はするものの、想い出に浸る彼女の顔は幸せそうで、その顔を見ているだけで、私は満足でした。
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