【8】生きて。

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『今日私は・・・あいつらなんか死んでしまえばいいと思ったの。どうしても許せないと思ったの。このままじゃ、いつか彼女たちを傷つけてしまうかも知れない・・・。私は負けたの、お母さん。悔しいけど、ごめんなさい。私・・・これ以上は耐えられない・・・。』 (なんで・・・なんでヒトミみたいなイイ人が、こんなに苦しまなきゃいけないんだろう。人間って・・・わからないよ・・・。) 私は、もう何を信じていいのかわからなくなっていました。 ただ、彼女が可哀想で、悔しくて、悲しくてたまりませんでした。 その時、彼女の膝の上にいた私の顔に、冷たいものが落ちてきたのです。 (また・・・ヒトミ、そんなに泣かないで・・・・・・あれ?) ヒゲに垂れてきた雫を舐めた私は、それが涙とは違うことに気付きました。 (これはっ!!ヒトミっ!!) 慌てて膝から飛び降り、見上げたヒトミの手首から、真っ赤な血が流れ落ちていたのです。 『カズ・・・。ごめんね。お前を独りぼっちにしちゃうね。約束したのに、許してね。カズ・・・』 (ダメだ!!ヒトミ!死んじゃだめだ!) ゆっくりと畳に崩れていくヒトミに、私は必死で叫びました。 『カズ・・・さようなら。お母さん・・・お父さん・・・。カズ・・・キ君。』 (!?) 私の名前の理由が、その時分かりました。 (そうか!そうだったんだ!・・・ヒトミ、待ってて!!) 私は閉じられた襖に飛びつき、重たい襖を必死で引っかきました。 爪がいくつか飛んで、血が出てきましたが、その時の私は、痛みなんて感じませんでした。 (早くしないと、ヒトミが死んじゃう!) やっとのことで、襖を開け、いつも開けてある、お風呂場の小窓の格子から、外へ出ました。
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