【8】生きて。

4/4
前へ
/26ページ
次へ
彼のお父さんが、私にさわり、診察をしてくれました。 『和樹、外傷はないようだが、目の様子がおかしい。恐らく、頭でも打ってるのかもしれないな。レントゲンを撮ってみないと・・・』 『えっ?傷はないの?でも、その血は?』 『さぁ・・・?もう少し良く診てみるか。苦しそうだから、とりあえず、これは外すよ。』 「バチン!」 おとうさんが、私の首輪を切りました。 「リンリン♪」 拾い上げた彼の手元で、あの鈴が鳴りました。 (ヒトミ!!) その音で我に返った私は、彼に向かって、必死で叫びました。 『おいおい、急にどうしたんだ?このネコ。和樹、おまえにほえてるぞ。』 『この鈴は・・・瞳ちゃんの・・・・・・その血は・・・まさかっ!?』 私と彼の目が合いました。 (早く!早くヒトミを!!ヒトミを助けて!!) 『お父さん!車っ!!瞳ちゃんの家へ、早く!!』 お父さんも事の重大さに気付き、二人は慌てて部屋から飛び出して行ったのです。 (ヒトミ・・・もう少しだからね・・・もうすぐ大好きな彼が、もう一人の味方が助けに行くからね・・・死んじゃいけないよ・・・。ヒトミ・・・生きて!!) 私の意識は、そこで少しの間、途切れてしまいました。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

303人が本棚に入れています
本棚に追加