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彼のお父さんが、私にさわり、診察をしてくれました。
『和樹、外傷はないようだが、目の様子がおかしい。恐らく、頭でも打ってるのかもしれないな。レントゲンを撮ってみないと・・・』
『えっ?傷はないの?でも、その血は?』
『さぁ・・・?もう少し良く診てみるか。苦しそうだから、とりあえず、これは外すよ。』
「バチン!」
おとうさんが、私の首輪を切りました。
「リンリン♪」
拾い上げた彼の手元で、あの鈴が鳴りました。
(ヒトミ!!)
その音で我に返った私は、彼に向かって、必死で叫びました。
『おいおい、急にどうしたんだ?このネコ。和樹、おまえにほえてるぞ。』
『この鈴は・・・瞳ちゃんの・・・・・・その血は・・・まさかっ!?』
私と彼の目が合いました。
(早く!早くヒトミを!!ヒトミを助けて!!)
『お父さん!車っ!!瞳ちゃんの家へ、早く!!』
お父さんも事の重大さに気付き、二人は慌てて部屋から飛び出して行ったのです。
(ヒトミ・・・もう少しだからね・・・もうすぐ大好きな彼が、もう一人の味方が助けに行くからね・・・死んじゃいけないよ・・・。ヒトミ・・・生きて!!)
私の意識は、そこで少しの間、途切れてしまいました。
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