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『……そう。結局その程度の男だったのよ』
『えぇ、その事は私も身を持って感じています』
『……でも、そんな男を選んだのもあなた自身でしょ?』
母さんは、一気に顔をしかめ下を向いた
『……私の言うことは結局は正しかったの。今なら、そう思えるでしょ?あの時、私たちが決めた結婚をしていればこんな事にはならなかった』
『あんな男を選んだのは私、それは認めるわ。でも、あの人を選んだ事を後悔はしてないわ……』
そう言うと、力強くも優しい顔で俺と妹を交互に見た
『……だって龍介と美奈を、生む事が出来たもの』
『こんな時まで、口答えするのね……私はこれからもあなたを助けるつもりはないわ』
冷たい視線
実の娘にまでこの態度……
俺はつくづく祖母が、怖くて仕方がなかった
一刻も早く、この場から離れたくて母さんの手を強く握った
『……わかりました。失礼しました』
俺の気持ちを察したのか、母さんはそう伝えると俺と妹の腕を引き早歩きで家を出た
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