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それから、俺と妹は学校を休み、毎日母さんの入院している病院へ通った
体調が悪いのか、母さんが無理をしているのは目に見えた
それから2週間ほどがたち、俺は担当医に急に呼ばれた
『……大変言いにくいんですがお母さんは、末期癌です』
『………え?』
俺は頭が真っ白になった
いくら子供だとはいえ、癌がどういう物かは知っている
『……治らないんですか?』
震える声を、必死に押さえ訊ねる
『……体中に転移しているので取り除くのも厳しいですし、何より体力的に無理です。………残りの人生を、精一杯幸せなものにしてあげてください』
………母さんが助からない?
全く現実味の無い言葉に、頭が付いていけなかった
『……母さんは、………死ぬんですか?』
医者は悔しそうに、黙って頷いた
『……もって、残り3ヵ月でしょう』
3ヵ月という言葉が、より一層現実味を増して俺にのしかかる
『……母さんは、この事知っているんですか?』
『……はい』
……母さんが、この事を知っていた
そうだとしたら、どんな気持ちで毎日過ごしていたんだろう?
俺は、取りあえず医者に挨拶をして分かれ、一人で考えていた
今は、母さんにどんな顔をして会ったらいいのか分からなかった……
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