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その日から母さんは、面会も出来なくなり機械につながれた部屋に入れられた そんな日から数週間後、突然担当医に呼ばれた 『……お母さんは水族館の日、態度には出さなかったのでしょうが大変無理をされていたみたいです。もう、息を引き取るまでは時間の問題です』 『……それは、どうしようもないんですか?』 意志は苦い顔で頭を下げる 『……いつまで持つか分かりません。今日は病室に入って、お母さんと話してくれて結構です』 その言葉だけで、十分すぎるほど状況を理解した 俺は頭を下げ、急いで病室に向かった 部屋に入り、寝たままの母さんの手を握る いつの間にか小さくなってしまった母さんの手は、触れるだけで折れそうなほどだった 俺は面会が許されるぎりぎりまで、母さんの手を握っていた そして、その日……… 母さんはゆっくりと息を引き取った .
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