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「……話してくれてありがとう」
私は、今はどんな慰めや同情の言葉よりもありがとうという言葉が一番だと思った
『……明るい話じゃなくてごめんな?でも、この話をしてからどうしても本題を話たかった』
本題?
私は今の以外に、本題があると思わなかったので少し驚く
『梨奈ちゃん、俺と昔に会ったことあるの覚えてる?』
龍介と昔に会っていた?
全く分からず、頭を横に振る
『小学校3年の頃だったからなぁ……長瀬龍介って言ったら分かる?』
長瀬龍介……
同じクラスに、そんな名前の男の子が居たような気がする
「もしかして、転校した?」
『……うん、父さんが出ていったからね』
そう言うと、少し苦笑いをする
「それなら覚えてるよ。すごくお金持ちで、有名だったし」
『……覚えてくれて良かった。昔は凄い性格悪くてさ、でもお金はあるから周りにはいつも人が居たんだ。我が儘を言う代わりに、周りに居る奴にはいつも何でもあげてた』
私は、口を挟まずあいずちを打ちながら話を聞いていた
『でも、急にお金が無くなったとたん周りから人が居なくなった。……でも、梨奈ちゃんだけは何にも変わらず接してくれた』
「……そうだっけ?」
私は、いまいち覚えていない
『……覚えてないと思うよ?意図的じゃなくて、梨奈ちゃんの自然なやさしさだと思うから』
そう言うと、龍介は優しく笑って私の顔をじっと見た
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