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「……ねぇ、どこ行くの?」 横で運転をしている悠司に話し掛けると、悠司は前を向いたまま返事をした 『お腹すいてません?先にご飯でも食べてから、ドライブでもするつもりですが』 ……そう言われると、何故かお腹が空いてきた 私はその意見に賛成し、返事をすると横で悠司が少し笑った 着いたのは、和食の店だった 店の中は畳の為、靴を脱いで上がる 店員さんに個室に案内され、悠司はコースを2人分注文した 「……悠司って色んな店、知ってるんだね」 『仕事で来たりも、しますからね』 ……やっぱり大人だな 私は、まだまだ子供な自分に少し嫌悪感を感じる 『……大丈夫ですよ、梨奈さんも昔よりちゃんと大人になってます』 「……え?」 読心術?! 私は驚きを隠せないが、悠司なら何となく納得ができる 「梨奈さんは、いつも顔に出てるんです」 『……これからは気を付ける』 私は、自分の顔を確かめるようにそっと触る 「触っても意味は無いと思いますが……そういう所、僕は好きですよ?」 そう言うと、悠司は笑っている “僕は好きですよ” 私は、悠司の顔を見ながらこの言葉が頭から離れない .
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