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『……ここです、降りてください』 ……ホテル? わざわざ大阪にまで来て、ホテルって……え? 『理由は直ぐに分かりますから、早く降りてください』 悠司は私の考えている事を察したのか、そう付け加えた 車から降り、悠司の斜め後ろに着いてホテルに入る 何事もないように、フロントの前を通過 ますますここに来た、理由が分からないが黙って着いて歩く 『……ここです』 そう言うと、ある部屋の前で突然止まった 「うん……で、私はどうしたらいいの?」 『……チャイムでも、押してみたらどうです?』 そう言いながら悠司は、意味深に笑っている ……何か危ないものでも? 私の警戒心は、どんどん上がっていくがどうする事も出来ずちらっと様子を伺うように悠司を見る 『早くして下さい』 「……はい」 さらりと言われ、私はチャイムに手を伸ばしゆっくりとそれを押す 響くチャイム 『……はーい』 聞き覚えのある声が、中から返事をする 私の心拍数は、徐々に上がってくるのを感じる ……聞こえるはずが無い声に戸惑いを隠せない反面、それが本当ならどれだけ嬉しいだろう 鍵を開ける音が聞こえ、そっと扉が開いた .
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