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『……梨奈、ちょっと来て』 この空気の中、お兄ちゃんは物凄い笑顔で私の腕を引き横の部屋に連れていく あそこから逃げられて、内心ホッとしたのは内緒にしておく 「お兄ちゃんどうしたの?」 『梨奈、愛されてるな』 ……はい? 突然何を言い出すんだろう 『悠司が嫉妬するのなんか、すごい珍しいぞ?あいつ、何もしなくてもモテるからあいつが恋愛にのめり込んでるのを見るのはこれがまだ2回目だし……』 まぁ、確かに悠司ならモテると思うけどあれでのめり込んでるの? そうだとしたら、ますますドS極まりない ……それよりも私は、2回目という言葉が頭に引っ掛かる 「……2回目って事は、前にも合ったんだ?」 『うん。悠司は俺の1個上だろ?それと同じ年の、すっごい美人な彼女が居たんだよ。まぁ、最終的にそいつは悠司を捨てるように婚約したんだけどね……』 知らなかった悠司の過去…… 私はうまい返事見つからず、少し黙り込んでしまう 『……まぁ、悠司は今は梨奈だけだから無駄な考えはしなくて大丈夫』 そう言うと、優しく頭を撫でてくれる お兄ちゃんの一言は、すごく心強いし励みになる だから安心させるように 「ありがとう!大丈夫だよ」 と言い思いっきり笑ってみせる でも、心の中には何かが引っ掛かったままだった…… .
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