9.

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『最初から認めてれば、賭けなんかしなくても済んだのに……』 嫌味っぽい表現に私は少し顔を歪ませる……でも、悠司は話とは裏腹に少し口元が緩んでいる 素直じゃないなぁ 思わず私の口元も緩む 『悠司そろそろお風呂入ったら?もう、結構な時間だし』 『そうする……』 ちらっと時計を見たあと、悠司は立ち上がりお風呂場へ向かった 何だか肩の荷が、一気に降りたように私は椅子にすとんと座り込む 『よかったな、梨奈!』 そう言ってお兄ちゃんは、私の頭をくしゃくしゃにしながら撫でる 私が素直になれたのは、お兄ちゃんとお酒の力が大きかったと思う やっぱりお兄ちゃんは大好き! 抱きつきたいが、悠司に怒られそうだからそれはやめておく…… 『俺はもう限界、寝るわ。梨奈はどうする?』 「……悠司を待っとく」 『さっそく熱々だな』 茶化すように笑いかけてきたが、私は素直に笑っておいた その様子を見てにっこり笑うと 『おやすみ』 と言い寝室へ行った .
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