9.

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『……て下さい。梨奈さん、早く起きてください』 声がぼんやりと聞こえ、いまいち思考が働かないまま目を開ける そこには、お兄ちゃんと悠司が私を覗き込むようにして立っている ……あれ?あんなに緊張しといてあっさり寝ちゃったの? 何やかんや考えつつも、物凄くぐっすりと眠った自分に拍子抜けする 『梨奈、よく寝るな』 『何回も起こしたんですが、やっと起きましたか』 2人の様子を見ると、自分が思っているよりもさらにいっぱい寝ていたことが分かる 「そんなに寝てたんだ……」 私は時間を確認するために、部屋の時計に視線を向ける 10時を少し回っている…… 『早く用意してください。用意が出来たら、出かけますので』 悠司とお兄ちゃんを見ると、どうやら用意はもう出来ているようで……明らかに私が寝坊したんだなと少し反省する 私は用意するためな寝室を後にして、洗面所へと着替えを持って向かった そしてふと、疑問に思う ……私と悠司って両想いなんだよね?でも、あれはお酒飲んでたし……今も、前と全く変わった様子は無いし…… 考えれば考えるほど、不安と共に憂鬱な気分に押し潰されそうになってくる それに自分がここまで、ネガティブだとは思わなかった 私は用意しながら、悪いことばかりを頭に張り巡らせ重い足取りで元の部屋に戻った .
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