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『……また何か、一人で考えてるんですか?』 私の顔を見るなり、少し眉間に皺を寄せながら話し掛けて来た ……もし昨日のが嘘って言われたらどうしよう 悪い考えばかりが、私の脳内を侵食していく 「……何でもない」 昨日の出来事が嘘だったのかもしれないと考えると、上手く笑えない 『昨日あんな話をしたのに、まだ僕を信用出来ませんか?』 「……え?覚えてるの?」 私の心に刺さっていた刺のような悩みは、一瞬にして消え去った 『今更無かったことに……というのは無しですよ?』 そう言いながら、さっきよりも深く眉間に皺を寄せ私の様子を伺っている 「うん!」 いつも余裕が無いのは、私だけじゃなかった…… 悠司も、分かりづらいだけで普段から精一杯なんだと感じた 普段の態度は、もしかすると照れ隠しなのかな? そう考えると、悠司が可愛くて仕方がない! そして本当に、自慢の旦那さん! 『……一人で勝手な想像するのはやめて下さい』 悠司のそんな発言さえも可愛く思えてくる私は、どうやら悠司病にかかってしまったらしい…… でも凄く幸せな私は、どうしても口元が緩んでしまう .
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