10.

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「……結構長いね」 『そうですね』 あの電話をお兄ちゃんが受けてから、車内の空気はずっと曇天のように重く暗い 聞きたいことは山程あるのに、全く聞けそうに無いばかりか普通の会話さえも途切れてしまう 悠司は機嫌が悪いばかりか、さっきからずっと上の空のようだ 今も運転をしながら、一人怖い顔をして考え事をしている 『……どうする?あいつの事、迎えに行くの?』 『あんなやつ、もう関係無い』 ……あいつ?あんなやつ? 2人が差す人物は私の知らない人で、きっと2人は関わりが深い人なんだろう 『あんなやつ……関係無い』 自分に言い聞かせるように横で小さく呟く悠司の態度が、言葉とは裏腹にどこか切なそうで…… 私も、普段と違う悠司の様子に少しずつ焦りが生まれ始める…… .
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