10.

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『悠司がいいって言うのに、理由なんている?……それより、そろそろ移動しましょ』 散々空気をかき回して、やっと移動しようという案が出る 私の周りの人は、人の目を気にし無さ過ぎな気がする…… 『そうするか。でも、どこに行く?』 『そうねえ……二人の新居にお邪魔するわ。いいでしょ?』 妖しく笑う姿はあまりに美麗で、有無を言わせないものがある 『相変わらず断るという選択肢は無いみたいだから、仕方ないけど行きましょう』 悠司もすっかり、優里亜さんのペースに巻き込まれている……というよりも、あの人は誰のペースも自分のペースに巻き込む才能があるんだろう 典型的なお嬢様気質、否お姫さま気質かもしれない あれほどマイペースなのに嫌味に感じないのは、やっぱり持って生まれた物なのかなぁ…… 『じゃあ、移動しましょ……あっ!あと、あれをよろしくね』 そう言いながら、自分の鞄を指差すと出口に向かい、颯爽と歩きだした .
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