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『……優里亜さんと悠司、本当に相変わらずだなぁ』 お兄ちゃんは、今の光景を懐かしむように眺めている ……あの悠司が、付き合ってた頃はずっとあんな様子だったってこと? それはなんだか想像を絶するものがあると共に、私には一生かかっても出来ない事だと思う 『……当たり前です。梨奈さんには、無理ですよ』 「……えっ?!」 横を見ると、いつも変わらず少し意地悪そうに笑う悠司の姿……と、手には優里亜さんの大きなカバン どうやら、また読心術を使われたらしい 『優里亜は、特別なんですよ』 だいぶ先を歩く優里亜さんを眺めながら、怒りと悲しみと愛しさが混ざったような複雑な表情をしている 悠司の口から出た、特別…… それは悠司にとって、特別ってこと? それとも、優里亜さん自体が特別ってこと? 「……へぇ」 曖昧な返事をしながら、私は上手く笑えずにいる .
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