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『社長、これはどうします?』
「大体のイメージはついたから、あとは私が直接話をして決めるわ」
『わかりました。けど、最近働きすぎですから、あんまり無理しないで下さいね。』
「心配、どうも有難う。今回の物件が一段落したら、休暇をとらせてもらうつもりだから安心して。」
『休みも大事ですからね。社長のバケーションの為にも、僕達も頑張りますから。』
そう言うと、頭を下げて部屋から出ていった。
少し気が抜けて、椅子へと腰掛け休憩する。働き詰めだっただったからか、本人も少し驚くほどに体は疲れていたようだ。
すると、またしても部屋をノックする音が聞こえた。
直ぐ様、しっかりと椅子に座り直し「どうぞ」と返事をした。
『おっ、社長さん。今日も頑張ってますか?』
そう言って、顔を覗かせたのは龍介だった。予想外の人物と、突然の訪問に、一気に気が抜けた。
「どうしたの、急に。」
少し久しぶりの再会に、私の口元が自然と緩む。お互い忙しくしていた為に、会うのはざっと半年ぶりぐらいだ。
『近くまで寄ったから、ついでに。今晩、食事でもどう?』
そう言われ時計を見ると、定時を少し回ったところだった。
最近は、仕事に打ち込んでばかりだったので残業は当たり前だった。
普段なら仕事が理由で断ることが多いが、相手が龍介という事と久しぶりの再開ということもあり、私は素直に同意した。
「待ってて。直ぐに用意するから。」
そう告げ、私は仕事に区切りを付けて食事に出ることにした。
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