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一段落がつき、部屋から出ると、まだ殆どが仕事をしていた。
みんなは、私を見るなり少し驚いたような表情。
「…あの?何かありますか、私に。」
あまりに、みんなが同じような態度をとってくるために心配になってしまった。
特に、変わったことは無いはずだ。
『いえ、社長が早い退勤ってだけでも珍しいのに、しかも男性と一緒っていうのが…』
私の質問に口を開いたのは、よく一緒に食事などに行ったりする事務の女の子の一人だ。
みんな、異論をしないのを見ると満場一致でこの意見と見てとれる。
「高校の同級生なの。久々に食事でも行って、懐かしんでくるわ。じゃあ、皆さんお疲れさま。お先に失礼しますね」
『はい!同級生って言ってますが、とってもお似合いですよ。もうそろそろ、社長も自分自身の恋愛を楽しんでくださいね。』
でしゃばり過ぎましたけど…
そして、最後に少しはにかみながら、そう付け加えた。
全く、私ってそんなに閉ざして見えるのかな?自分なりに、前には進んでるつもりなんだけど。
まぁ、あれから恋愛はさっぱりだからそう言われても仕方がないけど。
『お似合いでしょ、僕達。僕はずっと昔からアプローチしてるんだけど、全然振り向いてくれないんだ。本人は、前向きに色々考えてるつもりみたいだけど。』
そう言うと、私の方を見る。
考えてる事を当てるのは、昔から得意だと見える。龍介も……悠司も。
『まぁ、誰かさんはまた思い出して耽ったりしだすかもしれないから、この話題は此処まで!さっ、今度こそ行ってきます』
『あっ、色々と失礼しました!楽しんできてくださいね。』
少し申し訳なさそうに言う彼女を見て、気にしないでという意味を込めて、私は笑顔で行ってきますを告げて、事務所を後にした。
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