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―4月。
満開の桜に迎えられながら、私たちは浪花学園に入学した。
女子生徒は今年からの受け入れの浪花学園には当然、男子ばかりだった。
クラスにも女子は私だけだった。
平凡な高校生活ではないことだけは、瞬時に理解した。
自己紹介…さすがにこれだけの、しかも男子ばかりの前に立つのは恥ずかしい。
「美川紗姫(よしかわさき)です。
…ぇっと、よろしくです。」
顔からは火が出そうだった。
自己紹介も無事終わり、休み時間に入った。
「美川さん。」
いきなり声をかけられ驚いた。
確か、安田章大くんやっけな。
「よろしくなぁ。
女の子一人って心細いやろけど、何かあったら俺頼ってくれたらええし。」
愛らしい笑顔で彼はそう告げた。
「ありがと。」
「…そうやって笑うとほんまにかわええな。
やっぱ、笑顔が一番やで。」
なんだかホッとした。
と、同時にこの学校で頑張れる気がした。
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