何処までも追い掛けてくる女

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その日は大好きな父と二人きりでドライブに出掛けた。 天気も良くドライブ事態もとても楽しく快適に終わるはずだった…。あのトンネルを通までは…。 そのトンネルはとある国道に今も存在している。古びた佇まいで山の中にぽつんとある。 行くときとは全く違う道を通り帰宅するのは父と私のいつものコース。その日もそう…。 日中遊び疲れた私は半分うとうとしながら助手席にいた。 徐々に体が重くなりシートに沈み込むように仰向けに寝入ってしまった。すると、この期を待ち兼ねていたかの様に途端に全身が硬直していった。金縛りだ…❗ やっとの思いで薄く目を開けると目の前に古びたトンネルが現れた。ヤバイ❗直感で思った。誰に教えられたわけでも無いが何故かそう思った。 トンネルの中ほどまでは何も無く過ぎた。だからあれ⁉勘違い⁉疲れてるだけ⁉そう思った。しかしそれはあまかった。突然体がガタガタとなりだした。体が危険信号を発しはじめる。冷や汗がどっと噴き出す。こうなると暑いのか寒いのかわからない。背中から何か寒気とも違う痺れにもにた感触が体の中を通り抜けた。 来る❗❗何か来る❗❗ 助手席のミラーには今通ってきたばかりのトンネルの暗闇が映っている。 小さく何かが映った。それは段々と大きくなり明かに私達の乗っている車を追い掛けてくる。 …車❗⁉じゃない❗❗女の人だ❗❗長い黒髪を振り乱し、大きく見開いた目をむき出すかのように鬼の形相で❗❗しかも四つん這いで❗❗物凄い早さで追い掛けてくる❗❗ ヤバイ❗❗テケテケだ❗❗早く❗❗早く走って❗❗父はそんな私の心情など知るよしも無く運転に集中している。声が出ない…体が動かない…❗そんな状況でも彼女は無情にもズンズンと車に迫り来る❗ヤバイ❗追い付かれる❗❗目前にトンネルの出口が見えてきた。あそこまでいけば❗❗逃げて❗❗お願い❗❗私は一心不乱に祈った。動かない体と出ない声のありったけで祈った。
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