7・ビバ☆夏風邪

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38度9分 「少し休んだら早退しなさい。」 意識が朦朧とする中、保健医の先生の言葉を聞いていた。 夏風邪…最悪…。 一時間くらい寝て帰ろうっと。 ベッドに潜った私。 ポケットから携帯を出す。 待ち受け画面は、こっそり隠し撮りした好きな人。 これ無くしたら生きてけない。 カラッとドアが開いた音がした。 先生かな…。 そんな事を考えながら、待ち受けを眺め、目を瞑る。 あーあ、どうせなら修平が来てくれればいいのに。 ケンカ友達という関係を、いい加減やめて《恋人》に進展したい。 「――亜由?」 「え…?修平…?」 飛び起きたかったけれど、けだるい身体は言うことをきいてくれない。 修平がベッドの横に座る。 いつもよりも優しい声。 夢…? これが現実の修平だったらな。 「――大好き、修平…。」 夢だったら、こんなにうまく言えるのに。 「――うん、俺も。」 えー?修平も? うん、ありがとう。 起きたら告白してみよっかなぁ。 なんてね。 ――ブーッ…ブーッ… すっかり寝付いた私の枕元の携帯が震え、目が覚める。 あ、やばい。 頭がクラクラする。 カチリと携帯を開くと、 頭はもっとクラクラ。   ビバ☆夏風邪   「夢じゃないからね?」 .
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