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「自業自得だろ」
「そうだけどさ。海翔、もう少し短くしてくれない?」
「無理だ」
「そこをなんとか」
「無理だ。それよりもとっとと食え」
冷ましたら承知しねぇぞ、と脅されたため渋々フォークを手にもつ漣楓。
今日の夕食はパスタ。ちなみにボンゴレビアンコ――あさりと白ワインのパスタだ。
漣楓はあさりは嫌いだ。噛んだ時のグニャっとした食感が、どうにも好きになれない。とはいえ出された物を残すのは失礼と考えているため、文句を言わずに黙々と食べる。
……あさりを除けば、文句なしにこのパスタは旨い。特に、口の中に広がる様々な海産物の風味が、なんともいえない。
食べ終えた二人が顔を上げると、丁度よく視線が交わる。
「海翔って何でこんなに料理が上手いの?」
「上級の調理のアプリをダウンロードしてるからな」
「羨ましー」
「お前は人間、俺はアンドロイドなんだから当然だろ。んな事よりお前、明日はテストとか言ってなかったか?もう提出用プログラムの構築は終わってんだろうな」
「……忘れてた」
漣楓は片付け宜しくと頼み、明日学校で行われるテストに向けて“準備”を始めた。
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