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漣楓がシカトされるのはよくある事だ。そして海翔は、シカトした後の漣楓の反応を見て楽しんでいる。
しかし、漣楓がシカトすると怒るが。
コーヒーをいれ終わった海翔が席に着くと、二人そろって朝食を食べ始める。
香ばしいパンの香りが部屋の中に広がっており、リビングには朝の小さな幸せの一時が流れていた。
「んで準備は出来たのか?」
「テストの事?勿論。抜かりは無いよ」
今までだって失敗した事ないじゃん、と続けると漣楓に海翔は口の端をつり上げ、そしてコーヒーに口をつける。ちなみにブラックコーヒーだ。
それを見て思わず顔をしかめる漣楓。その理由は二つ。
一つめは、楽しそうにブラックコーヒーを飲んでいる事。漣楓はブラック、というよりもコーヒーは飲めないため、「笑みを湛えてコーヒーを飲む」事が理解出来ないのだ。
二つ目は、言った事に対して微笑えまれた事。それはまるで、難しい問いに答えた生徒を褒める教師のようだった。これが何より腑に落ちない。
「なら、別にいいんだけどな」
「何かあるの?」
「テストには関係ねぇ。気にすんな」
言い切ると、もう聞くなという様に再びコーヒーに口をつける海翔。こうなってしまえば絶対に教えてくれないのは長年の付き合いから分かっているので、席を立ち学校へ行くための支度を始める事にした。
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