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ブラッドのミストルテインが突如として強く輝く。
「『ダークネス・メテオ』!!」
「『グランド・エクスプロージョン』!!」
ブラッドの魔法剣と俺の魔法剣がぶつかり合い、行き場を無くした魔力が暴発、その衝撃で俺は再び大扉まで吹っ飛ばされ、背を強く叩きつけた。
「ぐうっ…くそっ、なんて力だ」
たった一撃、それだけで体が言うことを聞かなくなった。
立ち上がろうとしても膝が笑い、ふらふらとしてしまう。
「お父様…もうやめて…」
「何を戯言を…その程度で我に歯向かうとは片腹痛いわ。今度こそ消えるがいい。」
再びミストルテインが光りだす。
急激なダメージによる体の一時的な麻痺が、俺とアイシスを危機に追いやった。
「ここまでか…」
俺は半ば諦めに似た息を吐いた。
だがしかし、妹だけは何としても守り抜く。
「アイシス、すまない。」
「え?」
「二人まとめて消え去れ『ダークネス・メテオ』!!」
ブラッドが放った衝撃波が一直線にこちらへ飛来してくる。
俺はアイシスを背に庇い、バルムンクを両の手でしっかと握り締めた。
アイシスの華奢な手が背を叩く。
避けて、と。やめて、と、後ろから必死に懇願してきた。
えらく時の流れを遅く感じた。
ブラッドが放った衝撃波もまるでゆっくりに見える。
死ぬ間際とはこのような感覚を覚えるものなのか。
ゆっくりと、そしてとうとう、衝撃波は俺の寸分手前まで距離を縮めた。
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