ネットカフェ難民

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御堂有羽(みどうゆう) 18才 華の18才なんてよく言ったものだ。 嫌々通った高校は3ヶ月で中退。 勉強なんて楽しくないし、学校に友達もいなかった。 どうして髪を染めたらいけないのか、ピアスを没収されるのか理解できず先生にたてついた。 社会不適合者 不良 ヤンキー 知らない人にまでこんな呼び方をされていた。 兄はT大、姉はK大、両親は医者。 そんなデキた家族に囲まれて、はみ出しモノは家に帰らなくてもいいらしい。 次第に家族からの連絡もなくなっていた。 やりたいことを誰も認めてはくれなかった。 家に帰りたくない。 最後に帰ったのはいつだろうか。 ネットカフェでは適当にドリンクを飲みながらあるチャットルームで時間を潰した。 最初は暇潰しだったが、最近は楽しみになっていた。 その理由は自分のやりたいことを認めてくれる相手とチャットできるからだった。 今日も派遣のバイトのあと、チャットルームにアクセスする。 「…あ、いた❤」 チャットルームの参加者の中にお目当ての相手がいたのだ。 相手のチャットネームは【アキ】と【モト】 『アキー❤モトー❤』 【ユウ】でログインし、キーボードでさっそく会話を打ち込み、会話が始まった。 もう半年近く顔も声も知らない3人のチャットは毎晩続いていた。
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