ネットカフェ難民

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時間は午前2時。 チャットを始めて六時間がたっていた。 モト【じゃあ明日早いから寝るわ。また明日、ユウおめでとう】 モトはいつもだいたいこの時間にログオフしてしまう。 アキは寝る時間はマチマチだが、だいたいモトが落ちたあとも2人でたわいもないチャットすることが多かった。 そのため有羽にとってはアキと2人で話をすることが多かった。 アキ【ユウ、契約申し出があったら決めるつもり?】 ユウ【うん、考えてるよ。デザイナーになれるならこんな地元すぐに飛び出したいよ(笑)】 アキ【じゃあ私と契約しない?】 「え?!」 画面の発言に向かって思わず声が出てしまう。 ユウ【そりゃちゃんとデザイナーになれるならね】 冗談だと思い、ユウも冗談半分にレスをしていた。 アキのことはほとんど何も知らない。服を造るのが好きなことくらいである。 アキ【東京においでよ。うち広いとこに一人暮らしだからルームシェアしちゃえば家賃も半分だし】 しかし、話はどんどん具体的になってくる。 アキが東京の人だということも半年間のチャット歴の中でも知らなかった。 ユウ【からかいならやめて。怒るよ?】 駆け引きをするが、アキは姿勢をかえない。 アキ【からかってなんかないよ?ユウのデザインを他の店と契約されるのがいやなの。私が最初に惚れたデザイナーなんだから】  ユウは今の生活にまったく満足できていない。 ネットカフェで起床、昼間につまらない派遣のバイトをしながらスケッチブックにデザインをかく。 夜はネットカフェでチャットをして寝る。 その繰り返しだ。 ユウ【最初に惚れた証拠を見せてくれたらすぐに行くよ】 ネット友達のアキを信じられずかまをかけてみた。 少し間が空く。 やっぱり困ってる。 そう感じながら、席を立ちドリンクのおかわりをつぎに行った。
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