ネットカフェ難民

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「有羽どこいこっか?クラブ?」 友達の翔太は遊ぶ気まんまんで有羽を車に乗せた。 「家に帰る」 「はぁ??オヤジさんに呼び出し?」  「荷造りよ」 有羽の話を聞いて笑いながらもとりあえず翔太は家に向かってくれた。 翔太はクラブで知り合ったのだが、この地元で唯一デザイナーの夢を応援してくれている人だった。 家につくと電気は消えていて、家族は寝静まっていた。 荷物をさっさとまとめ出て行こうとすると、玄関で父親が呼びとめた。 「有羽、いい加減にしなさい」 「…」 「どこにいくんだ」 「…東京。もう帰ってこないから、さよなら」 「待ちなさい!東京?何を考えてるんだ」 「お父さんにはわかんないよ…」  父親を振り切って急いで翔太の車に飛び乗る。 翔太は車を急いで発進させた。 「いいの?お父さん」 ミラーで確認するが、父親は玄関の外にも出てこない。 また家族に失望し有羽は助手席で強い目をして座っていた。 「…有羽、その荷物…。本気で東京いくつもり?」 「こないだのコンテストで最優秀だったの。契約も決まったんだ。これで私もデザイナーだよ」 「そうか…」 翔太は信号待ちの車内で淋しそうにつぶやいた。
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