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車は翔太の家についた。
翔太は一人暮らしでインターネットができるパソコンがある。
いつものネットカフェはきっと満室だろうとふんで、翔太の家に来た。
「パソコン借りるね」
翔太の承諾を得る前に電源を入れてチャットルームを開く。
アキはまだいた。
ユウ【お待たせ。まだいる?】
すぐに返事は帰ってきてチャットが始まった。
翔太は部屋をさりげなく片付けながら飲み物を出してくれた。
「有羽、東京にアテなんかあるの?」
「うん」
「俺ついてってやろうか?」
「いい」
有羽にいくらちょっかいをかけても冷たい返事。
しばらくして諦めてテレビを見るふりをした。
「東京かぁ…」
一人ごとを呟き、パソコンをする有羽の背中を見つめた。たばこに火をつけるが吸わないまま灰だけが長くなる。
こんなにうれしそうな有羽を見るのははじめてで、止めることなんて選択肢にもなかった。
テレビはバラエティーをしていたが、まったく内容が頭に入ってこず、シャワーを浴びにいった。
有羽は翔太の行動におかまいなしでチャットを続けていた。
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