第一話

6/8
前へ
/16ページ
次へ
午前中の種目が終わり、休憩時間となる。 シートの上には弁当箱が早苗さんのと合わせると1つ、2つ、3つ、4つ…… 「たくさん食べて下さいね。」 と二人。 マジか…こんなに食えるかよ…… 二人を見ると口が割けてもこんなことは言えなかった。 「うわっ、こんなに食えるかよ。」 言っちゃったよ… この声は…間違いない。オッサンだ。 ブワッと早苗さんが涙目になるのが分かった。 さすがにオッサンもマズイと思ったのか、すぐに弁当にがっつき始める。 「ふがっ…もががっ…」 旨い、旨いぞ。と言っている……のか? まぁ、早苗さんが全力疾走する事態は避けられたか。 汐も合流し、俺たちも食べ始める。 丸いおにぎりは全てに海苔で顔が描かれていた。 「すごーい!だんごさんだ!」 「うん。めちゃくちゃ旨いな。」 「えへへ。今日は凄く頑張って作っちゃいました。」 渚の作った弁当は本当に美味しく、時間が経つのも忘れてしまう程だった。 『間もなく父兄職員対抗リレーが始まります。出場される保護者の方々は入場門へお集まり下さい。』 「おい朋也。集合だとさ、行くぞ。」 「あ、あぁ…」 オッサンはいつの間に着替えたのか、ランニングパンツにタンクトップという出で立ち。 クソ…一緒に行きたくねぇ… 「あー!二岡が歩いてる!!」 「何!?どこだどこだ!?」 その隙に一人で入場門へ行く。 二岡なんているわけないだろオッサン……
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

210人が本棚に入れています
本棚に追加