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【遙か】友鷹【BL】
「でーと、しませんか?」
堅物の鷹通の言葉に、
友雅はきょとんとしてしまう。
手土産に持ってきた酒を落としそうになったが、
そこは一回りほど年上の意地だ。
しっかりと、紐を握り締める。
「どうしたんだい、急に…。
それに"でーと"とは、何かな?」
「ふふ」
友雅に質問されて、鷹通は楽しそうに目を細める。
美しいその笑みに、友雅は少しだけ酔いそうになる。
酒一滴も、今宵は飲んでいないのに…。
「二人きりで、どこかに出かける事ですよ」
「ほう?」
「神子殿の世界の言葉らしいです…」
それを聞いて、友雅は察した。
この言葉を教えたのは、
天真か詩紋か…神子である茜か…。
頭をめぐらせていると、鷹通は友雅を抱きしめる。
堅物な鷹通にしては、ずいぶん大胆な行動だ。
「これは、親愛なる人にする行為なんですよ」
「…鷹通」
「ねぇ、でーとしましょう。
その時は…春や夏の蝶のように、
どこかへ行かず私だけの友雅殿になってくださいますか?」
……なんと、酔いの早い甘美な蜜を持った花だろう。
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