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[遙か3]君は初恋でした[リズ神子・景譲]
発明品の手入れをしていた景時の下に、
真面目な顔をした望美がやってきた。
「景時さん」
「なんだい、望美ちゃん」
景時を覗き込むように目の前にしゃがみこんだ望美に、
景時は首をかしげる。
「景時さんは、譲君のこと好きなんだよね?」
「え?ええ!!」
自分の気持ちを見透かされたようで、
景時は手の甲で口元を押さえて驚いた。
顔は、耳まで真っ赤である。
「でも、譲くんは私の事が好きなの」
「……」
知りきっている言葉を浴びせられて、景時はうなだれる。
「はは…俺は、別に……」
「私も、譲くんが好きだよ」
その宣言は、予期せぬものだった。
譲の片想いだと思ってた、一途な彼が好きだった。
でも、望美も好きだったら…絶望的だ。
「……そう、譲くん喜ぶんじゃないかな?」
「でもね、私が愛してるのはリズ先生なの」
「……望美ちゃん?」
景時は、望美が言いたい事がよく解らなかった。
今さっき譲が好きだといったはずの望美から、
舌の根も乾かないうちに、他の男を愛していると言う。
「先生に会うまで、私が好きだったのは譲くんだったの」
「……」
「譲くんは、私の初恋の人なの。
だから、すっごく大切な人なんだよ」
「そうなんだ…でも、それは…」
身勝手なんじゃない?…そう景時は言おうとした。
けれど、それは言えなかった。
望美が、人差し指を景時の唇に添えたのだ。
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