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「そこまでよッ!」
光の線が三本空の脇を掠め、分身の恭介へ突き刺さった。そして分身は光に飲まれる形で消えた。
「きッ!貴様は!」
「ゆ……唯!?」
空の後ろには唯がいた。しかし、いつもと違う。雰囲気、表情、そしてなにより、光輝く左手から伸びる弓。
「貴様…貴様も超能力者か!」
恭介が突然慌て出した。
いや…ちょっと待て。唯が…超能力者!?
「うん。そうよ。
まぁ良くもレベル10の分際が私のツレを虐めてくれたわね。ちょっと身体能力が上がるからって調子に乗らないほうがいいわよ。……なぜなら」
「黙れ糞アマァッ!!」
「…私みたいなのに感知されて……確実にやられるから」
「ッ!!!」
殴りかかる恭介に冷静に光の矢じりを向け、唯はそのまま放った。光の矢は真っ直ぐ恭介のみぞうちに突き刺さり、恭介はうめき声一つ出さずに倒れた。
「「「………………」」」
空達はただ言葉を失っていた。
空達は恭介が一瞬で消えたと見えたが、唯はそれ以上に早く矢を放った。
まさに0、01秒の世界……
「……殺ったのか?」
翔が口の中はカラカラですと言った様子で唯へ言った。いつの間にか唯の右手の光は消えていた。唯は微笑み、答えた。
「別に殺してはないよ!第一殺したくないし。私がエイと同じ平和主義者だってこと忘れた?」
唯はいつも通りおどけた感じで言ったが、すぐに表情を固くした。
そして重々しいように、口を開いた。
「着いておいでよ。今のこととか、全部説明してあげる。」
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