噂の゛アレ゛

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「俺…知らないな。聞いたこともない」  空はやはり首を傾げた。 しかし横の翔は違った。 「俺聞いたことある。まぁ例の゛アレ゛って単語だけだけど。どんなのなんだ?」 「えっとね。……ごめんうろ覚えなんだけど、なんかゲームらしいよ?」 「「ゲーム?」」  空と翔が同時に言った。 唯はそんな二人に苦笑しながらも、続けた。 「そ! しかもね、普通のゲームじゃなくてね。 コントロールは不要!自分がゲームの中に入ってプレイするゲームなんだって!すごくない?」  興奮する唯とは裏腹に空達は顔を見合わせて難しい顔をしている。  やがて翔が言った。 「まぁスゲーけど俺あんま興味無いわ。 ゲームとかなんかもうやってねぇし目疲れるからやりたくないし。なぁ空!」 「あぁ、まぁ俺もそれかな…。 なんか弓道に支障出そうじゃん?」  この三人は皆、弓道部である。 唯も一理あると言った感じで頷いたが、やはりまだ納得していないのか、 「ねぇ!皆でやろうよ~」  と駄々を捏ねてきた。 空達は対応するのも馬鹿馬鹿しく、生返事をしながら高校の校門を通っていった。
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