2130人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよー、みんな!」
空達のクラス、2ーCに空達が入るとまさに大男の代名詞、水先 栄汰(ミズサキ エイタ)が三人の迎えるように向かって来た。
「うっすエイ!」
栄汰は確かに巨漢で色々な人に恐れられてしまう奴だが、決して悪い奴ではない。 しかし、自分の好む平和が壊されるのだけは許せないらしく、相手がどんなに大勢だろうが栄汰は牙を剥く。
例えるなら平和好きな熊さんと言った所だ。
「空、またアイツ等からお手紙が置いてあるよ……全く懲りないねぇ」
栄汰が空の机を指差した。
三人がそこを見ると綺麗な机に物凄く汚い字で『果たし状』と書かれている手紙がある。
唯と翔はまたかとため息を着き、空はその手紙を見ずにバラバラに切り裂いた。
「え!見ないの?」
「別に…内容同じだろ。
『今日昼休み屋上にて』。
暗記しちまったよ」
意地悪そうな笑みを浮かべる唯に答え、空は手紙を燃えるゴミへと捨てた。
手紙を送ってくる人の名は佐藤 恭介(サトウ キョウスケ)、空達と同じ高校に通うヤンキーな三年生だ。
もともと恭介はこの学校一のケンカの強さを誇る者で、誰も恭介に口を出すものはいなかった。
しかし去年、偶然空に絡んだ恭介は一瞬でやられる。そう、空はケンカが馬鹿みたいに強いのだ。
ちなみに翔、もちろん栄汰も強い。
それからというもの、ほぼ毎日と言わんばかりに恭介から果たし状なるものが届くようになった。空は大概バカらしく思って無視するが、たまに恭介は空達の教室に乗り込んでくる。
後々面倒くさいそれを避けたいが為に空はよっぽどの事情が無い限り恭介の挑戦を受けている。
全くもって迷惑な話だ。
「今日は俺とエイも行くぜ?
相手が大人数でかかってきたら俺らも参戦する!なぁエイ!」
「もちろん!
男ならタイマン一筋でしょ?」
「おーサンキュー!
正直同じ奴倒すのはこの頃飽きてきたんだ。」
唯はというと、「はぁ、これだから男子は…」と呟き、自分の席へと座っていた。
最初のコメントを投稿しよう!