噂の゛アレ゛

6/10
前へ
/360ページ
次へ
「なぁ……お前どうした? なんか様子がいつもと違うぞ?」  空が疑問を捨てきれず、恭介へ聞いてみた。後ろで翔と栄汰が同時に頷く。 二人も疑問を持っていたようだ。 「……クククッ、やはりお前は感じるようだな空ァ!俺はなァ……生まれ変わったんだよ!」 「なっ!」  その時、恭介の姿が一瞬で消えた。 空は当然驚き、すぐに左右を見る。しかし恭介のその姿は何処にもない。 「下だッ!」 「えっ!ぐっ!」  翔の叫びに助けられ、恭介の顎を狙ったパンチはガード出来たが、空は踏ん張りが効かずに数センチ宙へと浮いた。 「セェアッ!!!」 「がぁっ!!!」  恭介がすかさずその数秒も無いスキを突いて回し蹴りを放った。  今度は空は防御が出来ず、恭介の蹴りは腹へ直撃した。空は翔達の所まで吹き飛ばされた。 「大丈夫!?空!」  栄汰が飛んできた空をキャッチするように抱え、叫んだ。 「くッ…。 なんとか…だけど何だよアレ…人間の限界を越えてンだろ普通に」  空が痛みに顔を歪めながら恭介を睨み付け、言った。 確かにその通りだ。空の間合いをほぼ一瞬で詰め、殴り、そして蹴りを入れる。 その時間わずか三秒。  とてもではないが、生半可な人間が出来る仕業ではない。 ましては空達より格段に弱い恭介が、だ。 「ハッ!天下の空もこんなもんか! 超能力を使うまでもねぇなコリャッ!」  高笑いする恭介。 しかし今、聞き逃してはいけないことをを聞い気がした…。 「超能力…だと?」
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2130人が本棚に入れています
本棚に追加