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静寂を愛する夫
静寂を、こよなく愛する白石さんちのパパさんは、七海のリコーダーの音も、勇太の鍵盤ハーモニカの音も、拒絶した。
オトアレルギー、カヨ!
そうして、度々…
「チッ、うるさい」
と、言い放った。
さらには、美優のオモチャの音にも、過剰に反応した。
小さなの子供が遊ぶオモチャには、様々な音の出るものが少なくないというのに。
そうして…
音の出るオモチャは、片っ端から、電池を抜いた。
オモチャのラッパなど、電池を必要としないオモチャは……
捨てた。
ポイット、ナ。
静寂を愛する夫は…
地球には、優しくなかった。
チキュウモ、アイシテオクレ。
いつの間にか…
ママゴンと子供達は…
「チッ、うるさい」
と言われないように、細心の注意を図るようになっていた。
ナンカ、チガクナイ?
細々と考えるのが苦手なママゴンではあったけれども、このままではいけない、と危機感すら感じはじめる。
けれども、ゆっくりと考えを巡らす余裕がない。
イイワケハ、イケマセン。
毎晩のように、夜泣きをする美優の相手は、楽ではなかったから。
パパさん?
パパさんは、いつだって夢の中。
もの凄い音の、いびきをかきながら。
ソウオン、ハンタイ!
パパさんのいびきによって、眠りを妨げられながら、ママゴンは思っていた。
「チッ、うるさいっっ!!」
のは、こっちの台詞だよ…と。
タマニハ、ドク、ハカナイトネ。
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