新生活

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一姫の七海が四歳、二太郎の勇太が二歳の年の瀬に、四人家族は三人家族となった。 四人家族の頃から、広告代理店に勤めていたママゴンと子供達の生活に大きな違いはないように見えたけれども、たとえ実質上いないような父親だったとしても、いるのと、いないとでは、世間の風は、時折、違って吹いた。 「父親はね、ただいるだけだって、時として、冷たい風を避ける盾になるものなんだよ」 マルイチを決意したママゴンに、ママゴンの母ちゃんが言った台詞は、あながち間違えではなかったと思い知らされた。 ママゴンは、言った。 「すぐに解ってもらおうなんて、甘いわよね。子供達に、寂し思いをさせてしまったことも事実だし…」 ママゴンの表現に陰りが見えたのは、けれども、ほんの一瞬のこと。 「いいわ、ワタシ達三人が笑って、元気に過ごしてさえいれば、自ずと答えは出るんだから」 もしかしたら… この時まで、ママゴンは、初々しいママンだったのかもしれない。  しかし、その頃からママゴンは、確実にパワーアップした。 階級を上げた。 フトッテ、ナイワヨ。 進化を遂げたのだ。 シンカケイ、ママゴン。 「ワタシが、子供達の盾になるんだから」 と、力強く言って。 辛いことを乗り越え、心に筋肉をつけていったママゴン。  さらなる進化を遂げた場合、ママゴンからママゴリラになる可能性もある…らしい。  ウッホ、ウッホ。  ッテ、ナルカイ!!
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