一姫二太郎

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一姫二太郎

ポジティブで大らかな七海は、しばしば、ママゴンの救いとなった。 大雑把で根気がない点が、たまに傷だとしても。  勇太は、優しい男の子に育っていった。  勇太のかけてくれる優しい言葉に、ママゴンの胸は熱くなるほど。  ウルット、シチャウネ。 若干、気弱な勇太だったとしても。 七海は四年生、勇太は二年生になっていた。  勉強の方は…  七海=惜しい  勇太=残念  だったけれども、ママゴンは、さして気にしない。  「努力は、必要よ。だけど、勉強が出来るからといって、人として立派だとは限らないもの」 子供達に、そこまでは言わないけれども、子育てをする上で、知識や教養よりも大切にしていることが、ママゴンにはあったから。  ママゴンは、胸に刻んでいる。 “悪いところは黙っていても見えるけれど、良いところは、見ようとしなければ見えない” 学生の頃の恩師に聞いたこの言葉は、社会に出てから、親になってから、つまずきそうになる度に、頭をよぎった。 ピピピット、ネッ。  そんなママゴンを、七海も勇太も大好きで、ママゴンも子供達が大好きだった。  贅沢は出来ないけれども、静穏無事に流れてゆく日常に、神は新たな課題を突き付けた。  カミサマノ、イジワルゥ~。 なんて、甘えても駄目だ。 おそらく… それが、生きているということだから。 乗り越えた時に、得るものがあるはずだから。
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