44人が本棚に入れています
本棚に追加
信忠が落ち着きを取り戻すと貞勝は再び口を開いた。
貞勝「まずは誠仁親王様を外に出しましょう。
明智は朝廷に対し人一倍の信義を貫いておりますので必ずや保護致します。」
京都の地図が描かれた紙を広げながら貞勝は分かりやすく説明を始めた。
全員がまとまって北東より京都を脱出し、近江国に入り安土城に帰還する為に。
貞勝「今の我々の数は100人。
既にこちらには数千の兵が信忠様を討つ為に向かっているはず!!」
源三郎「幸いにも全員分の軍馬は揃っております。
直ぐに脱出を!!」
源三郎はうかうかしていては追手に囲まれると判断して慌てていた。
玄以「源三郎殿よ、慌てなさるな。京の町は迷路の如く通路、数千の兵が来るにはまだ時間がかかりまするぞ。」
前田玄以は両腕で信忠の嫡男である三法師を抱き抱えてそう説得した。
この非常時における玄以の冷静さが結果的には家臣の不安を少なからず取り除いたのだった。
信忠「安土城に戻れば僅かだが兵も居ろう、ならば全員出発の準備を急げ!!」
信忠の指揮下で家臣は様々な工作を巡らした。
二条城に大量の篝火を起こし、あたかもまだ居るようにみせかけ、更にはありったけの油と干草を地面にばら蒔いた。
やがて誠仁親王を数人の町民達と供に朝廷付近に行かせると、二条城を出た。
だが運悪く、丁度のタイミングで明智秀満率いる3000の兵が二条城付近に現れた。
最初のコメントを投稿しよう!