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「…は、はい。妹を」
「犯人は、おそらくあいつですよ~。最近この辺りで動き回っているようですし」
少女は、和馬から目を離し、青年を上から見下ろす。
「…イレイサー」
「イレイサー?」
聞きなれない言葉を、オウム返しに聞き返す。腰に手を当て、少女は和馬に無情な言葉を告げる。
「あなた、諦めなさい。相手があいつなら、この男にも無理よ」
ガタン!
思わず立ち上がってしまった。妹を、今まで一緒に育ってきた血を分けた妹を、諦めろ?そんなの無理に決まっている!
「諦めろ!?どういうことだ?イレイサーって何だよ?」
表情を全く変えず、青年が丁寧に解説を始める。
「イレイサーっていうのはですね。消す者って意味ですよ。言葉通り、物でも建物でも、人でもね。おそらく、あなたの妹さんも、イレイサーに消されたのでしょう。存在が消されたから、皆の記憶からも妹さんは抹消されてしまったのです。ね、言葉通りでしょ?」
「消された?存在を?」
「消された奴は、50人を超えるって話よ。これから、まだまだ増えるわ。でも、なぜあなたは覚えてるのかしら?」
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