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妹が消えた瞬間が頭をかすめる。
久しぶりに一緒に出掛けたあの日、2人でお金を出しあって母さんの誕生日プレゼントを買いにいったんだ。何を買うか、楽しそうに選んでいた妹。その妹が、もう……死んだ?
「現場に居合たから、とかですかね~。記憶から消されてない人は初めて見ましたよ」
「…あの、消されるって、消されたら、どうなるんですか?」
「だから、存在そのものが消されるの」
「…じゃ、じゃあ、メグは……」
「死んだわけではないですよ?」
青年は、小首を綺麗な角度に傾け、微笑をたたえていた。和馬は、数秒ポカンとして間抜けな声で聞き返す。
「え?」
「イレイサーを倒せばいいんですよ。消された者は、この世ではない世界に捕えられているのです」
「倒すって、誰が?」
ん?と、顔に笑顔を張り付けたまま、少女を見る。
「僕と、あなたで。和馬君のために頑張りましょう?」
「はぁ!?」
冗談じゃないと眉間のしわをさらに深くした少女の手を、和馬が掴む。
「お願いします!お願いします!君みたいに、年下の女の子にお願いするなんて、情けないと思うけど、他に頼れる人がいないんだ!妹を、助けたいんだ!!」
和馬の燃え上がるような熱気に押され、少女はしばし黙考し、小さな可愛らしいため息をついた。
「君なんて、気持悪い呼び方しないで。私はリリーシュ。リリでいいわ」
「あ、僕はクリス・ジルファードです。どうぞよろしくお願いしますね~」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
和馬は、2人に頭を下げた。
「はい。では、自己紹介も終わった所で、和馬君の妹さんが消えた場所に、行ってみましょうか」
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