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テナントショップが立ち並ぶ通りに、俺たちはいた。
「今更ここに来てどうすんのよ?っていうか、気持ち悪いから人形持って外出ないでよ!」
左腕に黒猫のぬいぐるみを抱え、右ポケットに小さい猫のぬいぐるみが2体、ちょうど頭と腕が出るように器用に納められているクリスを見て、リリが絶叫する。
それはそうだろう。はたから見たら、かなり変な人に見える。それを半眼で睨みつけ、リリはクリスから1メートルほど距離をとる。
「すみません、この子達がいないと、僕のチャームポイントが無くなってしまいますから」
「気色悪い男ね!」
俺は苦笑いを浮かべて2人を見る。そして、初めて会った時から気になっていることを質問した。
「ちょっと思ってたんだけど、2人はどういう関係?兄妹?」
「恋人ですよ~」
「今すぐ脳みそ引きずり出されたいのね!頭かしなさい」
リリは凶悪な笑顔をたたえている。手をワキワキと動かし、脳みそを引きずり出すための準備運動を開始した。
それを察知し、クリスは素早く俺の後ろに隠れ、微笑を浮かべる。俺より背が高いため、全然隠れきれていないのだが…。
俺は真正面からリリを見る形となった。凶悪な顔でも、やはり可愛らしい子だな…
「というのは冗談で。ま、同居人ですかね~」
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