鬼と少女

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異能。 この2人も、何か俺にはない不思議な力を持っているんだろうか?クリスはぬいぐるみを動かしてるけど、これも力なのかな? 妹が消されてしまうまで全く知らなかった世界。イレイサーのことがなかったら、きっとこんな突飛な話、信じなかっただろうな。 「イレイサーは根暗で、ヤバイ考えしてるってのが決まりなの」 「そう、彼等の目的は、全ての人間を消すことです」 「全て?そんなの…」 「はい。無理でしょうね~」 クリスは、むしろ楽しそうに、馬鹿にした笑みを浮かべている。 俺の横に立っていたリリが、右の人気のない路地に視線を向ける。そのまま歩き出した。俺も慌てて後に続く。 「あなたの妹が消された場所を考えると、少し裏道に入った方がよさそうね」 「そうですね。人が少ない方が、向こうにとってもこちらにとっても都合がいいですね」 「都合?」 「はい。イレイサーを倒す、ね?」 「ねぇ、実際どうするの?奴が出てきたら、あなた何とか出来るの?」 「多分、無理だと思いますよ~。僕は力が弱いですしね。頼みますね、リリさん」 先頭を歩いていたリリが立ち止まり、振り返る。 「嫌よ!」 クリスは小首を傾げ、無言で返す。
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