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「なんとかしなさいよ!」
「では、少し努力しましょうか」
クリスはゆっくりと緩慢な動作で腕をあげる。男は、動かず、クリス、和馬、リリ、全てを見ている。
「動きを止めなさい」
クリスは、きっぱりとした口調で命ずる。見ると、男の足元に小さな物が動いていた。
先ほどまでクリスの右ポケットに入っていた2体のぬいぐるみが、自身の耳の辺りから何かを引き抜く。針だ。斜めにして体の中に納めていた武器を器用に持ち、2体は息を合わせて男の足に針を刺しこむ!
だが、針が足に辿りつく前に、2体が消えた。
本当に、消えたのだ。
瞬きを一回している間に、さっきまで見えていたものが無くなっていた。
和馬にとっては二度目の経験。二度見てもなお、信じられない。
脳が信じることを拒否するように、和馬は何度も瞬きを繰り返す。
次の瞬間には、また何処からかぬいぐるみ達が現れることが当たり前なのだと言いたいように。
しかし、ぬいぐるみ達は消えたまま…
「これじゃ、何も攻撃出来ないじゃない!」
「そうですね~」
「リリさん、あれを使ってはどうです?」
「っ!!」
リリは目を見開き、クリスを見る。
もともと色白の肌が、真っ青だ。
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