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「ふざけないで!!」
「しかし、そうでもしないと、僕達消されてしまいますよ?」
もう一度どなりつけようとした時、今まで沈黙していた男が、静かに口を開いた。
「消す。全部消す。世界の、浄化だ」
男は一歩、また一歩と3人に近付いてくる。
「ヒッ!」
俺は、声にならない悲鳴をあげた。
消される!俺が、俺という存在がなくなる。メグのように……。誰の記憶からも、抹消される……。
少年は、本能的にイレイサーから逃れようと一歩後ろに下がる。
体が、脳みそが、逃げろ!と警告を発している。
と、リリが和馬をかばうようにして前に立つ。
「チッ」
小さな可愛らしい舌打ちを一つ。右手を真横に上げた。
「参棺(さんかん)!」
リリの叫びと同時に地面が震え出した。
まるで、地がリリの声に応えようとするように、コンクリートに亀裂が走る。
遠くで、道行く人達の悲鳴が聞こえた。和馬は立っていられず、前に手をついて何とか体を支える。視界にクリスが見えたが、地震など気にしたふうもなく、微笑を浮かべ、リリを見ている。
ドゴッッ
コンクリートへんと砂けむりが巻き散る中、長方形の物が地中から突如出現した。
それは、木でできた箱。
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