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鬼の威圧に押されたように、顔からは笑みが消えていた。
イレイサーにも、鬼の桁外れの強さが分かる。
冷や汗が、体中からにじみ出す。全身が拒否を示しているのだ。こいつと戦うな、と。死ぬつもりか?と……
「…なんだ?この力は……」
「…この者を、倒す…」
鬼は呟く。目覚めたばかりで、頭がまだ働いていないのか、リリの命令を繰り返す。目は完全に開いておらず、瞼が半分おりていた。
鬼が、ゆっくりと一歩を踏み出す。真紅の目は、イレイサーから離さない。少しずつ2人の距離が縮まっていく。
鬼は、右手の指を、準備運動のためか少し動かす。爪が5センチほど伸びた。それだけで殺傷能力は、十分あるだろう。
と、鬼が消えた。
消されたのか?
リリを見るが、イレイサーに視線を固定したまま、無表情を保っている。じゃ、鬼はどこに?
ドッ!ドゴッ!
音のした方を見ると、イレイサーがいなくなっていた。何故か砂けむりが上がっている。
え?何がおこったんだ?
次の瞬間、消されたと思っていた鬼が、何もなかったように立っていた。まだ調子がでないというように、手首を振っている。
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