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まるで少年が、美しい姫に心を奪われたように、怪物は少女を見つめる。
何だ、これは?
小さな少女の体からは、淡い光が煌めいていた。神々しいまでに、純白。
「クライスの名にかけて、貴様を封印する!!」
少女が両手を前に振り出した。
視界いっぱいに、純白の光が迫りくる。いや、光ではない、呪(じゅ)が刻みこまれた拘束紙が、まるで紐のように怪物に絡み付き、縛りあげて自由を奪う。
腕、足、胴、頭、怪物の体が白い光りに覆われていく。振り切ろうにも、拘束紙が体に食い込むように張り付き、動くことも許されない。
その中でも、怪物は少女から目を離さなかった。
小さな、小さな人間。
小さな、小さな少女は、泣いていた……
それが、怪物が最後に見た光景だった―――
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